《八ヶ岳PA》の食堂で朝食を済ませた。配膳カウンター隣りのパン工房売場に、香川京子を若くミニにした感じの女性が現われて綺麗な声を出し始めた。食事をしながら見惚れていたが、食後にパン売場に寄ってパンを買ってセレナに戻った。そして松本ICを目指して出発した。今日は松本から梓川渓谷を遡行して安房トンネルを潜り旧上宝村・神岡を経由して富山に出て、最短距離・最少所要時間ルートで帰るつもりだった。午後1時頃には七尾に着く。あとはゆっくりと旅行写真の整理をするつもり。それが走行中多少眠気を催したので諏訪湖SAに入り込んで土産物を物色したりして気を紛らわした。代金はポケットの有金で間に合った。が、不図いつも手にぶら下げている財布在中のバッグを手にしていないことが気になった。
車中にあるだろうと楽観してセレナに戻り探してみたが見当たらない。冷汗が出た。確かに在ったのは《八ヶ岳PA》で起床した時。それからトイレに行き、食堂に行った。その時確か財布在中の小・手提げバッグ(ズダ袋)を持って出た。そのバッグが手を離れ得る機会は、小便のとき邪魔になるので小便器の上に置くときと、食事のときテーブルの上に置くときと。小便のときに手から離した記憶があった。トイレ(一種の密室)で手を離れたとあっては絶望的、万に一つも届け出られることはあるまい。何せ財布には数十万円が在中していた。金が入っている財布は戻らないというのが定説。一気にストレス負荷が襲来した。ストレスを発散するために旅に出ているというのに。現金も惜しいことは惜しいがそんなことは大したストレスではない、諦めれば済むこと。運転免許証、クレジットカードその他在中していた諸々のカードについては紛失盗難の諸手続きが要る、というのに手続先も判明しないものが多い。手続の前提に最寄りの旅先の警察署への遺失物届出が要る。ストレスが、いきなり世界が闇夜になったかのように襲来した。セレナの中で暫し考えた、まずどうするか。答えは明白。《八ヶ岳PA》にとにかく電話を入れてバッグ・財布の届出がないかを確かめること。話はそれから、希望は全くないが。諏訪湖SAのインフォメーション窓口に行きそこの女性に《八ヶ岳PA》の電話番号を教えて貰い携帯電話で連絡した。男の声が答えた、「お宅のお名前は?」。「ミバヤシです」、そう答えると、男の声であっさりと「届いてます」。「どこに出頭すればいいですか?」「レジに来て下さい」。僕はトンボ返りして取りに戻る段取を話して電話を切った。奇跡だった。それから岡谷ICを出て直ぐに入り直し、長坂ICで出てまた直ぐに入り直して《八ヶ岳PA》に戻った。レジに行くと、話は早かった。僕は訊いた、「届けてくれた方は分っているんですか?」。レジの男の人は「食堂に置いてあったんですが、届けてくれた人は、こんなものがありましたよと言って立ち去りました」。僕、「このまま立ち去ってもいいんですか」。レジの人、「あぁ、結構です」。財布が僕の許に復帰した。僕は清々しい気持ちで《八ヶ岳PA》を今日二度目の出立をした。地獄に仏を見た様ですっかり気分が好くなり、安曇野の秋の具合を探訪しながら帰還することにした。そう言えばこの財布、数年前にも落とした。思い当たる道の経路を探索したが見つからなかったので、僕は警察に遺失の届出をした。夜、妻が帰って来て言うには「お父さん、何か落とさなかったぁ」「財布を落としたので警察に届け出て、クレジットカードも無効にした」。妻は驚いた顔をした、そして言うには「私が家の前で拾ったが、財布を何度も落とすから懲らしめてやろうと思って直ぐに言わなかった」。在中のクレジットカード等の対策の手を早急に打たねばならないことなど考えようとしない点、浅はかと言うべし。とにかくこの財布、僕とよっぽどの深い縁で結ばれている。大事にしなくては。
今回財布が奇跡的に僕の手許に戻って来た理由の一つは、小さなズダ袋に納まっていたことがあろう。誰もこんなみすぼらしい袋に大金が入っているとは思わないだろう。それと携帯電話。五連休の山陰旅行のとき僕は携帯電話を持参しなかった。かなり前から壊れていた。旅行中思った、人気のない山中でセレナや心臓が動かなくなった時どうすればいいんだろう、打つ手なし。それで旅行から帰還したら直ぐにDocomo に行って携帯を手に入れた。それが役に立った。菩薩様の様な効験があった。教訓、美人に見惚れるのは程々にf(-_-;)
旅の終わりに何か大変なことが起きるらしいなあと楽しみにしていましたが、大変でしたね。顔面蒼白。頭の中真っ白。その時の隆くん、見たかったですね。
返信削除「無い無いの神様」に脅かされましたね。味の素も時々脅かされて、おろおろもたもたしょんぼりしていますが、いつも奇跡的に回収しています。
世の中悪い人ばっかりでないなあと思いますね。私、足の手術の後、しばらく杖をついていましたが、その時世の中の人、皆親切だなあと思いましたよ。
きれいな写真沢山ありましたから、絵のネタがいっぱいたまったのではありませんか。秋も深まって、今度は紅葉ですか。
テレビで鮭の遡上の映像がよくうつるので、「私、鮭のぼってくるの見るの大好き。何だか懐かしい感じがするんだよね」と言ったら、味の素「お母さん前世は熊だったんじゃないの」「バカモン。前世は姫じゃ。無礼者」…でも熊だったのかも。
七○
今週火曜日から明日まで東京に居ます。七尾に戻ったら早速週末旅行に出ます。もう誰も僕を止められません(`´)。紅葉の本格的シーズンにいよいよ突入です。先週の週末も視察旅行に出かけています。土曜日は白馬から信州・鬼無里方面に向かい《奥裾花渓谷》を探訪しました。最後は車の乗入れ禁止になっていて徒歩で《奥裾花自然園》に入りました。奥山のup down は大変でしたが、見事な紅葉を堪能しました。朴の木・栃の木の黄葉が一際綺麗でした。その日は妙高高原の定宿に泊まりました、偉いでしょう。日曜日には梓川を遡って安房トンネルに行く道中、素晴らしい紅葉に出遭いました。いずれブログで紹介しますのでお楽しみに。
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