〇沖縄県八重山諸島・石垣島「唐人墓」

〇「唐人墓」には悲惨な物語がある。1852年、中国福建省アモイで集められた中国人労働者・苦力四百余人が米国商船でカリフォルニアに輸送される途中、辮髪を切られたり・病人を海中に投棄されるなどの暴虐に堪えかねて遂に蜂起して船長ら七人を打殺した。船は台湾へ向かう途中たまたま石垣島﨑枝沖に座礁し380人が下船した。八重山の政庁は彼らを保護した。しかし米英の兵船が三回に亘り来島し、砲撃を加え・武装兵を上陸させて厳しく捜索を行った。中国人らは山中に逃亡したが、銃撃を受け・逮捕され・あるいは自殺して惨憺たる状況となった。琉球王府と八重山政庁は人道的に対処し、島民も深く同情して密かに食糧を運んだりした。しかし疫病による死者も続出した。死者は一人びとり石積みの墓を建立して丁重に葬られた。ここ冨﨑原一帯には唐人の墓と称する煉瓦状墓碑を配した墓が戦後まで数多く点在していた。1970年、石垣市は異国の地に果てたこれら不幸な人々128人の霊魂を合祀慰霊するため唐人墓建立委員会を結成し関係各方面の支援・芳志をもって1971年にこれを完成した。

裏面

沖を海上保安庁の巡視船が行く。尖閣諸島にも出張るだろう。日・中の心の通った唐人墓の丘の上から、日中間の国境紛争の只中に出動して行く巡視船を見るとは‥

海岸に下りる。沖に浮かぶ島影は「小浜島」か。

この島影は「西表島」だろう。