〇酒井雄哉行者が49歳で比叡山延暦寺の千日回峰行に挑戦した記録。酒井氏は41歳まで市井にあった人だが、一念発起して仏門(天台宗)に入り小僧となった。回峰行は、精神力特に意志、体力特に持久力が超人的でないと満行など到底不可能。6年かけて1000日の回峰行を積む。比叡山中を廻り始めは一日30kmを踏破する。段々一日40km、60kmと距離が延び、終盤は山中廻りに加えて京の街を巡って戻る苛酷な80kmの行となる。700日目に堂入りがある。無動寺谷明王堂に不飲・不食且つ不眠・不臥で9日間籠りお勤めする。ボクには初めから直感的に不可能と分る荒行。ボクの心肺機能・持久力では一日の行も達成できない。物凄い人が世の中には居るものだと思う。この人は、満行して阿闍梨となった後にもう一度千日回峰行に挑戦して果たした。そのときには61歳を越していたろう。奇蹟に近い。超人であり、生き仏に近い。なお、回峰行を始めて挫折したときは死ぬしかないことになっている。
この人の行は、人生とは何かという問いを空しくする。人が為すべきは、一日一日・一歩一歩・一瞬一瞬ただひたすらに進んで行くこと・死なない限り進んで行くことしかない。何のためにとか、何を為すかとかは問題ではない。
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