〇懸所宝塔(かけしょほうとう)は石塔である。「懸所」とはこの宝塔の所有者が善立寺・因宗寺・金森区であり三者の所有地に懸かって所在しているところから付けられた名ではないか。
↓金森御坊山門。この中に宝塔が存在する。
この辺りに辿り着くまでに自動車教習所の練習コースの様な狭くクネクネした隘路に四苦八苦してきた。進むも退くもままならずの状態に再三陥った。やっと小さな駐車スペースを見つけたところで一人のおばさんに出遭った。何かを人の家に届けに来たところだった。ボクが石川県から懸所宝塔を探訪して来たことを知ると驚いて案内し始めた。その所在地を管轄する寺の同意を貰いに行ってくれた。そして連れて来てくれたのがここ。
↓本堂。向かって左側奥に行くと懸所宝塔が立っている。
↓これぞ、懸所宝塔。「塔に刻銘はないが、様式や手法からみて鎌倉時代後期の造立と考えられる。花崗岩製。」
↓「基礎は四石からなり、各石とも格狭間(こうさま)を入れ、その中に孔雀を各面で向き合う形に浮彫りしている」
「塔身は、胴部と首部を別石とし、胴部に扉構えを彫り、
↓首部は、下段に縁高欄(えんこうらん)を、
↓上段に柱を刻んでいる」
「軒は方形三段から成り、屋根は隅木(すみき)、垂木(たるき)、隅棟(すみむね)、露盤(ろばん)を造り出している」
↓「相輪(そうりん)は伏鉢(ふくばち)上に、八弁の請花(うけばな)、九輪(くりん)、請花、宝珠(ほうじゅ)を刻んでいる。」
〇「この宝塔は、基礎から相輪まで当初の部材がよく残っている。規模が大きく全体に均整がよくとれており、細部意匠も精巧で優美な塔である。当時の石工技術の優秀さを知ることができる宝塔として貴重である。」
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