11/4(水)丹後松島。一応筆を措いてカメラに収めた絵。
もういい加減に描き飽きた頃に、いつの間にか後ろに立って見ていたお爺さん、「あなた、プロでしょう」「この絵、売れるでしょう」。僕が日曜画家だと言っても信用しない。「現地で描いているのを見て感動したのは初めてや」「あなたの絵は何かが違う」。そして言い出すには、「こんな見る目のある人に、私の写真を見て貰おう」。そして車から写真集を持って来た。「どんどん批判して下さい」「どうですか」「ダメですか」。執念が掴んだシャッターチャンスの数々が収められていた、凄いと思った。老人の顔をまじまじと見ると深い皺が刻み込まれている、凄い御老体。「おいくつですか」と訊くと、「81歳ですがな」。確かに顔は81歳相当。しかし、自分で運転して独りで撮影旅行に出るとホームレス状態になるんだそう。60歳のとき工場を火災で失った、以来写真に道を替えて今日に至るそう。多分写真家として陽の目をみていまい。それでも齢を忘れて全国を跳び回っている、この後も「夕陽の屏風岩を撮りたいので」と言い残して走り去った。ウーム、上には上があるもの←好きさ加減のことを言っている。
11/12名古屋市中川区消印の写真絵葉書が、11/13に届いた。
前略 先日は大山丹後でお世話になりました。あれから無事に11日、名古屋に着きました。又いつかどこかでお逢い出来るのを楽しみに。
では御自愛のほど 敬具
名古屋市中川区○○○ ○○ 修
一旦「大山」と書いて抹消し「丹後」と書き直してあるところを見ると、大山も周って来たらしい。僕と出会ったのが一瞬大山だったと勘違いしたらしい。凄い81歳だ。
それに対する僕の返事。
前略 早速、写真絵葉書を戴いて有り難うございます。
丹後半島での遭遇は愉快でしたね。何の縁もゆかりもない者同士ですが、自然の美しさ・面白さ・機微に魅せられて走り回っている道楽者同士ということはお互い了解できて、それだけで気がおけず話が出来るというのは楽しいものですね。
○○さんは私のことを「あなた、プロでしょう」と言われましたが、私は本当に日曜画家です。63歳、目下未だ弁護士稼業をしています。そのうち廃業して、それこそ○○さんに負けないように全国を走り回るつもりです。その折は、○○さんが永年かけて培われた諸国行脚の経験・知識見識を御教示願いたいと思います。
どうかいつまでも達者で長生きして下さい。
今回の写生旅行で描いた絵をすべて印刷してみました。御笑覧下さい。 草々
平成21年11月13日
三林 隆
○○ 修 様
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