生態系の破壊
七尾市街地を東西に二分する川が”御祓川”。少年時代度々氾濫した。川幅が拡張され放水路も整備され、その後氾濫はない。その川の中流域(郊外)に家&事務所がある。夕方健康のために散歩する。途中御祓川の橋の上から川の中を覗くのを楽しみにしていた。水流が歳月をかけて川の中に淵と瀬と川原を成していた。水深のある淵には大鯉が群れていた。大きいのは60~70cmある。浅瀬では小魚が流れを切っていた。川原には草が繁茂し無数の虫が棲息。目に映る川は自然のままで一つの生態系を形成して安定していた。中でも淵に潜む大鯉の様子を窺うのが散歩の大いなる楽しみだった。この生態系が或る日一日にしてブルドーザーで均(なら)されて破壊され、一面浅瀬になった。水防治水行政の予算が執行されたらしい。どう見ても川の何処(どこ)にも大鯉の生息できる淵はなくなった。平坦な浅瀬ばかりで小魚しか棲めない。大鯉達の哀れな末路を思い、独り怒り且つ悲しんだ。むごい、思い遣りが無い。人間の傲慢の表れ。一面に均すだけが治水の遣り方ではなかろう。そもそも均さねばならぬ必要性があったのか。橋の上に立つ度に胸が痛み腹が立つ。
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