女房の母親が家族になった。御齢86歳。我家の娘達3人が居なくなって夫婦水入らずの生活になってから久しい。吾輩の両親はとっくに逝き、女房の父親も逝き、親で残るのは小松の母親のみだった。小松のオバアチャンと呼ばれる。オバアチャンは小松の田舎の家で独り暮らしを続けてきた。子供達の世話になるまい、迷惑をかけまいの一念から。しかし老衰は必然、それとともに独居生活の無理は歴然としてきた。記憶力が落ち食欲が落ち、最後は菓子パンを齧って日を過ごしていたらしい。痩せ衰えて一種の飢餓状態。その姿を見て吾輩は息を呑んだ。見る影もなく悲惨。遂に子供達は相談し能登病院に半強制的に検査入院させ、その後三月(みつき)ほど前から我家の住人となった。我家に登場してからのオバアチャンは明るく元気。三度の食事をきちんと摂りながら何度も言う、「みんなと食べると美味しいねぇ」。風呂場から女房(長女)が「おばあちゃ~ん」と呼ぶと、「はいはいハイハイ」と駆けつける。長女が背中を流してくれるらしい。かくして飢餓地獄から地蔵菩薩に救済されてきたばかりのような悲惨な姿に見えたオバアチャンが、見る見るかわいいオバアチャンに変身した。
吾輩はつくづく思う、家族って大切なもんやなぁ。
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