浄瑠璃寺入口。道の奥に山門がある。
山門。真言律宗と書いてある。真言宗とは全く別。明治維新時の廃仏毀釈の嵐の中で真言律宗・西大寺に属する道を選んだ。それまでは興福寺一乗院の末寺だった。しかしそもそも平安中期の創建時には薬師如来を本尊とする現生利益を重視する寺だった。それが平安後期に阿弥陀九体仏を本尊とする西方浄土を欣求する寺に変貌した。阿弥陀九体仏を本尊とする寺は平安後期に記録に表われるものだけで30棟も建てられたそうだが現存するのはこの浄瑠璃寺だけ。先日のブログで吾輩は、池を挟んで三重塔側を彼岸、本堂側を此岸と書いたが、これはまるで逆だった。三重塔側が東方に当たり本尊を薬師如来とした此岸、本堂側が西方に当たり阿弥陀九体仏を本尊とする彼岸だった。浄瑠璃寺の寺名の由来は、創建時東方にあるという「瑠璃光に満たされた浄瑠璃世界」の仏・薬師如来を本尊としていたことに因む。
国宝・三重塔。本尊は薬師如来。
池は補修工事中。
三重塔側から見た西方・本堂。
池は補修工事中。
国宝・本堂
本堂堂内に入るには、裏側の廊下を伝って行く。左折すると入口の引戸がある。「猫も入ります」と注意書きがあるので、引戸を開けたら必ず閉めること。堂内に入ると目を奪われることになる。一列に坐した阿弥陀九体仏の森厳さに圧倒される。九体仏は一体毎に柱間と障子戸を割り当てられている。障子越しの光の中に浮かぶ阿弥陀九体仏はとてもこの世のものとは思われない。まさに浄土世界。この本堂はそれ自体が阿弥陀九体仏のための厨子として造られている。人は堂外から阿弥陀九体仏を拝む形式なのだ。
堂内は撮影禁止。記念絵葉書などで次に阿弥陀九体仏をはじめ国宝・重要文化財の諸仏を紹介する。
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