2009年7月19日日曜日

悲しみの感情こそが芸術家を衝き動かす

人を動かすのは感情。理性・意識と称するものは後からついて来る。喜びや怒りは爆発的に祭(まつり)的に発散できる。怨み嫉みは陰湿だが立場が逆転し憐れむことが出来れば霧消する。悲しみは別格の感情。悲しみは衝撃性が強く脳裏に深く刻み込まれて人を衝き動かす。悲しみの感情の克服は芸術的昇華の方法の外にはない。

釈迦は居城の「四門」から「出遊」して四苦をわずらう人を見て悲しみその衝撃に衝き動かされて出家した。

ピカソが生涯手離さずアトリエで身近に置いた一枚の絵がある。14歳のときに描いた《裸足の少女》。普通の画集には収録されていない。この絵のコピーを見たとき僕はピカソの心の奥が垣間見えた気がした。少年ピカソは「裸足の少女」に人が生きることの悲しみを見たのだ。そして悲しみの感情に衝き動かされて《裸足の少女》を描いた。ピカソは大人になり悲しみこそが人を人たらしめる感情でありそれが芸術を生み出す淵源であることを確信した。

悲しみの衝撃は僕の人生をも支配した。双子に生まれた宿命だった。このことは後日整理してから必ず書く。書かねば僕の画家人生が始まらず従って終わらない。

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