2009年9月24日木曜日

舞鶴

舞鶴で遂に《引揚記念館》を訪れた。死ぬまでに引揚桟橋を見るべきだと思っていた。
平沖に着いた引揚船にランチが横付けされ、引揚者はこれに乗り替えて平桟橋に向かった。平桟橋は夢にまで見た祖国への第一歩を印すことになった所であり、家族らと感激の再会を果たす場となった。舞鶴地方援護局には28棟の建物があって、13年間におよそ66万人の引揚者と、約1万6000柱の遺骨を迎え入れた。
舞鶴地方援護局。
その拡大。
長く延びているのが北桟橋。ここからも一部の引揚者が祖国への第一歩を印した。上方の短い桟橋が平桟橋でここが上陸の主舞台。
引揚船から見た。
雪のシベリヤ収容所。
収容所生活。傍に居た少女が、思わず「こわ~い」と呟いた。
引揚者の記憶を元に形や大きさを正確に再現した黒パンの塊。
朝食。小さいお握り1個と具の乏しいスープだけ。
昼食はパン一切れだけ。
夕食もお握り1個とスープだけ。
このような必要栄養素栄養価を土台無視した非人道的に貧しい食事を与えただけで、極寒のシベリヤで過酷な重労働を国際法を無視して強制したソ連の暴挙は決して忘れてはならない。ソ連は人類史上初めて「自由主義」を排斥し「平等主義」を徹底実現しようとした国家だが、建国後間もなくして独裁者を生み出し、官僚国家に堕した。ソ連邦内で政治的犯罪者に貶められ過酷で長期の強制労働を科されていた市民は1200万人を超えると言われている。60万人の日本兵のシベリヤ抑留・強制労働賦課などは、スターリン独裁・官僚主義国家にとっては強制労働資源調達政策の一環に過ぎなかった。自由と平等は本来相容れない性質を持つ。自由を徹底すれば平等は実現できない、平等を徹底するには自由を抑圧せねばならない。人類史は、自由と平等はバランスがとれてこそそれぞれの価値が出ることを、そして自由が抑圧されると碌なことにはならないことを示している。シベリヤ抑留の事実、そして5万5000名の命が終戦後にもかかわらず無念にも異国で果ててシベリヤの土と化したことを、我々は肝に銘ずるべきである。僕は、シベリヤ抑留の事実を知る(疑似的にも体験する)ことから話が始まると思っていた。今日漸く事実の一端に触れることが出来た。合掌。
↑かつて引揚援護局があった地域には、製材所や産廃処理施設が立地していて跡形もない。僅かに平桟橋とそれに至る道が復元されている。
↓《平桟橋》はここにこのようにしてあった。岸壁の母と称された《端野いせ》さんもここに立った。
↓5000トン級の引揚船は、舞鶴湾に入港する度にこの橋の右側辺りに錨を下ろした。この橋は近時、関電が工事用に架けたもの、僕は引揚記念館の裏手にある小高い丘の上に登って写した。そこからかつての引揚桟橋や援護局跡地が一望できる。引揚船が投錨した辺りに現代的なタワーブリッジが架けられて、マイカーがかつての引揚船の投錨箇所の上を何事もなかったように行き来する。今昔の感に、そして人間の変容力の凄まじさに胸が塞がれた。合掌。
舞鶴東港。西港もある。舞鶴市は不思議な構造の街で、東舞鶴市街と西舞鶴市街に分れていて、それが本来は別の街と言わねばならないほどに分離している。ちょっと調べてみるとそれもその筈で、以前は西舞鶴が「舞鶴市」で東舞鶴は「東舞鶴市」だったそう。合併しても東西の対抗意識は今もあるそう。東舞鶴は海軍基地・造船所の街で、西舞鶴は城下町・商工業の街。港湾も東西二港に分れている。東港は軍港で、西港は商港。下の写真は東港。軍艦や造船所が見える。
上の写真の右側部分を拡大。日立造船所。
左側部分を拡大。海上自衛隊の護衛艦の艦影が幾つも見える。僕は舞鶴港の傍を通る度に軍艦の艦影のシンプルな美しさに魅かれる。今日もセレナを停めて何とか艦影をカメラに収めたいと行ったり来たりしたが、厳重な囲いがあって岸壁に近づけないし、せめて道端からでもと思っても、交通量が激しくて路肩停車も出来ない。船を描きたければ舞鶴市街に宿をして、絵の道具をガラガラ引いて歩き回ってじっくり攻め口を研究するしかない。いつか実行してやろう、職務質問くらいは覚悟の上で。
舞鶴市の人口は89,000人。かつては100,000人を超えていたのに、やはり過疎化。
次の目的地は、宮津。

5 件のコメント:

  1. この記事を読んで思い出すのは「笛吹童子」でしょう。

    非戦闘員の引揚者や復員兵の「尋ね人の時間です」というラヂヲ番組を聞いたあと、そんな人もいるんだなぁとの余韻を持ちながら「笛吹童子」を聴いていたような。
    そして、そんな気持ちを勇気づけるような特撮映画の「ゴジラ」でしょうか。
    笛吹童子-MIDI
    http://datum.sakura.ne.jp/sena1998/midi/fuefukidoji.mid
    ゴジラ-MIDI
    http://datum.sakura.ne.jp/sena1998/midi/GODZILLA.mid

    MIDIのゴジラの出来はよくないのでオケ版も掲載しますが、これが楽譜に忠実なので比較しないで下さいね。
    http://datum.sakura.ne.jp/sena1998/midi/Godzilla.mp3

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  2. Datum さんへ。折角「笛吹童子」と「ゴジラ」のMIDIのアドレスを教示して頂いたのに、どうやっても僕には聴く方法が打開できません。スイマセン、お手数をかけますが、聴き方をお教え戴けませんか。

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  3.  以前説明したと思いますが、Wmplayerの「ファイル」-「URLを開く」の中にアドレスを書き込んで下さい。

    jpgファイルは画像でそのままブラウザのアドレスに貼り付けると表示されますが、mp3やmidやm3uファイルは音楽なので、WMPlayerで演奏して下さい。

    知らない人のために。

     1000曲連続演奏の時にも説明しましたが、コピー&ペースト、略してコピペと言いますが、上のアドレスすべて(http://datum.sakura.ne.jp/sena1998/midi/fuefukidoji.mid)をマウスで選択、Ctrl+Cで複写(コピー)し、「URLを開く」の中にCtrl+Vで張り付け(ペースト)した方が便利です。

    無謀な1000曲連続演奏のアドレスも再掲します。
    http://datum.saloon.jp/m3u/1000_all.m3u

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  4. 万歳\(^o^)/遂に聞けたぁ!尤も僕だけでは永遠に聞けなかったf(^_^;)。事務長が、WM.Playerの上部の黒帯を右クリックすることを教えてくれて、それでどうにか「ファイル」に到達できました。(^O^)/

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  5.  よかった、よかった、安心しました。

    ついでに、これらのアドレスの「sena1998」は、娘が木箱をほしいといって、私のワインアドバイザーから頂いた木箱に焼き付けてあった銘柄から取りました。
    そして、やはり箱の中は空っぽでした。(笑)

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