2019年8月20日火曜日

★奥の細道紀行 第80章 ④(仙台市)宮城野、玉田・横野、つゝじが岡

奥の細道》《‥‥宮城野の萩茂りあひて、秋の景色思ひやらるゝ。玉田・よこ野・つゝじが岡はあせび咲くころ也。‥‥》
曾良随行日記』『七日 ‥‥ 玉田・横野を見、つゝじが岡の天神へ詣(もうで)‥‥』
〇「宮城野の萩茂りあひて」と書いた時、芭蕉の念頭にあった古歌(草枕)は、
「宮城野の露吹きむすぶ風の音に 小萩がもとを思ひこそやれ」(源氏物語)
「宮木野の本荒の小萩露をおもみ風をまつごと君をこそ待て」(古今和歌集 よみ人しらず)
「宮城野の萩や牡鹿の妻ならむ 花咲きしより声の色なる」(「基俊集」 藤原基俊)
「あはれいかに草葉の露のこぼるらむ 秋風立ちぬ宮城野の原」(「山家集」「新古今和歌集」 西行)  
宮城野」は地名として残っている。先ず仙台市に「宮城野区」があり、区内に町名「宮城野」がある。宮城野町の東北方にJR仙石線「宮城野原」駅があり、西方に「つつじヶ丘」駅がある。
↓宮城野の中心に、東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地球場が立地している。
多分この球場の辺りを芭蕉と曾良は北野加之の案内で通った。
仙台で歌枕として古来有名な地名は「宮城野」と「玉田横野」と「つつじが岡」の三つ。芭蕉が玉田・横野を通った時その念頭にあった古歌は、
「とりつなげ玉田横野のはなれ駒 つつじが岡にあせみ咲くなり」(散木奇歌集 源俊頼)。「あせみ」は芭蕉の云う「あせび」のことだろう。
玉田・横野」の地名は現存していない。宮城野と呼ばれた広い地域の中で、この地名の地域は「つつじが岡」「木の下」と一帯を成していたことたろう。

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