2009年8月7日金曜日

山下清に見る芸術家の資質

山下清には芸術家魂がある、貼り絵を見てそう感ずる。そして彼の人格・能力が単純だから芸術家としての資質が透けて見える。僕の目に見える山下清の芸術家性とは、①常に瑞々しい心に働く新鮮な関心興味、②関心興味のままに行動する旺盛な活動力、③自然風景モノを見て関心興味を惹き、感動し、そして刻明に記銘する記憶力、④記銘した自然風景モノを表現しようとする抑え難い創作意欲、⑤創作(制作)意欲が生み出す驚異的な根気・集中力。貼り絵の大作を見ればそれが途方もない根気・集中力の産物であることが分る。これらの資質が備われば、表現技術・センスは「好きこそものの上手なれ」の格言通り無限に上達し磨かれる。少年時代の稚拙な貼り絵から出発して後年の信じ難い根気と集中力の賜物である「長岡の花火」「ロンドンのタワーブリッジ」などの大作に至る過程は、芸術家というものの成長過程を実に単純明快な形で示してくれている。山下清は花火を見るのが好きでどこそこに花火大会があると聞くと居たたまれずに歩き出し飯を乞い金を恵んで貰いながら見物に行った。大した根性。関心興味に普通ここまで純粋に殉ずることが出来るだろうか。山下清の人生・生き様は彼が芸術家魂の持主だったことを感じさせる。

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