2010年2月25日木曜日

人の顔。愁いを帯びた知性・ロザリンド・フランクリン博士

時々魅入られる顔に出遭う。新聞・本の中の写真が殆どだけど。感動が深刻な写真はスキャンしてPCに取り込んでおく。顔にとりわけ魅入られるのには理由がある。僕が偏った嗜好の持主だという訳でない。人の脳に備わった性質。大脳は、人の顔の認識・識別のためにそれに特化した一領域を割いている。人が人を見るとき先ず顔を見る、中でも目を見る。目は口ほどにものを言う、正確には目は口よりもものを言う。
紹介するのは”ロザリンド・フランクリン”女史。愁眉に閉ざされた知性、しかし知性が溢れ出している。
この女性、決して一般に知られていない。それは不運不遇だったから。しかしその業績は太陽のように光り輝くものだった。X線結晶学に生涯を捧げた。ワトソン&クリックによるDNAの二重らせん構造の発見は、彼女の解析データの盗み見による。解析データは、DNA結晶が二重らせん構造をとっていることを明晰に示していた。ワトソン&クリックはこの発見の業績でノーベル医学生理学賞を受けることになったが、彼女はその4年前に37歳の若さで癌で死亡していた。癌を発病したのはx線を浴び過ぎたせいと言われている。死をも恐れず取り組んだ研究の成果を窃用されたことも多分知らずに彼女は逝った。悲劇的。この顔写真を見る度に、”ロザリンド・フランクリン”の愁い勝ちな知性的な面差しに、彼女の悲劇的な物語が重なって強く心を揺す振られる。

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