2013年12月9日月曜日
〇12/9(月)川端康成「雪国」
川端康成の「雪国」を未だ読んでなかった。ので、アトリエ備付けの文庫本書棚に作家別に並べてある膨大な蔵書の中から「雪国」を抜き出して読み始めた。150p弱の中編小説。「伊豆の踊子」程度に読み易かろうと思って取り付いたが、それが大間違い。とても高尚。人間を美的に・感覚的に捉えて表現することに徹している。思想はない。勝手が違って単純に読み進めない。襟を正し・態度を改め、川端康成的になって再挑戦。無駄な筋立て・描写が一切ない。小説の中心に・自己を深く厳しく見詰める作者が居るが、そのことは表に出ない。その作者の目に映る「駒子・葉子」を肇(はじめ)とする他人・情景・自然はあくまで美的なものとして捉えられる。読後感。これは果たして小説だろうか。川端康成の書くものは、彼の研ぎ澄まされた美意識に照らして創造される以上・決して長編とはなり得まい。実際・長編小説は一つもない。ノーベル文学賞を受賞するには、翻訳されて世界に紹介されていることが必要だそうだが、川端康成のあまりにも日本人的な作品が・よくぞ世界に紹介されて理解が得られたものだと感心する。彼の日本人的美意識には普遍性があったのだろうか。
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