寂光院の探訪から開始。ここは何と言っても「平家物語」最終舞台となっていることがゆかしい。建礼門院が平家一門・安徳天皇の菩提を弔いながら余生を過ごし、後白河法皇が御幸した。寺院は頗る小さい。隣接して宮内庁管理の御陵がある。惜しむらくは本堂が放火と見られる出火で消失したこと、平成12年のこと。以前と同様式の本堂が再建されているが、歴史の重みは全く感じない。嘆かわしい。
三千院は門跡寺院。格式を誇り、大きい。門構えに圧倒される。侘び・寂びとは無縁の世界なのは意外。ここのハイライトは「極楽往生院」、いわゆる阿弥陀堂。国宝・阿弥陀三尊像が小さく古い堂内に窮屈そうに納まっている。平天井では阿弥陀像がつかえるので舟形の底を天にした様な構造の天井にしてある。往時は天井・壁が極彩色の極楽浄土の絵で満たされていたが、煤けて見えない。が、煤の下に絵は残っている。ここの主の様な案内僧のガイドが絶品。抱腹絶倒の国宝級解説、一聞の価値あり。
鞍馬寺。何度目かの訪問。ケーブルで多宝塔まで登って本堂へ。帰りは古い九十九(つづら)折れ参道を徒歩で下った。本堂のさらに山奥に奥の院があることを知らなかった。奥の院から下ると貴船川に出る西門があり、貴船神社に通じる。往時修験道が盛んな頃、鞍馬と貴船は一体的な道場だったと見える。鞍馬寺は得体が知れないところがある。元は天台宗の一寺だったが、戦後独立して「鞍馬弘教」の総本山となった。「尊天信仰」に基づく。尊天とは、千手観世音菩薩(月輪の精霊・愛)・毘沙門天王(太陽の精霊・光)・護法魔王尊(大地の霊王・力)の三身一体のこと。有名な「鞍馬の火祭」は鞍馬山の中腹にある「由岐神社」の祭礼。
貴船神社の強烈な印象は、貴船川に沿って延々と続く料理旅館街(門前町)を形成していること。夏場には川床にまで納涼の桟敷席が設えられて頗る風流。神社は巨大ではない。本殿からさらに川筋に沿って行くと奥の院がある。式内社の古社だが、中・近世には上賀茂神社の摂社とされていた長い歴史がある。明治維新の際独立を果たした。旧社格は官幣中社。奥の院で低血糖の危機に陥った。セレナに戻りながら冷汗が出て来てもう駄目かと観念したら目の前に自販機が現れた。りんごジュースを買って飲んで危機を脱した。この日の歩行数15,000歩。
夜10時、帰宅。
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