2012年3月13日火曜日

〇湖北の観音巡り――その三「己高閣(鶏足寺)・世代閣(戸岩寺)」の十一面観音像・重文

木之本の東の峰々は己高山(ここうざん)と呼ばれ、その山上に中世「鶏足寺(けいそくじ)」という大寺が七堂伽藍を誇り繁栄した。それが時運に恵まれず急速に衰亡し廃寺となった。仏像は麓の神社の境内に降ろされて保管されてきた。鶏足寺の名は今麓の「飯福寺(はんぷくじ)」が継承している。紅葉の名所・鶏足寺として知られている寺がそれ。石道寺の近くにある。石道寺から医王寺に行く途中に「己高閣」がある。公金の補助を受けて建てられた霊宝館。主に鶏足寺関係の仏像を収蔵。己高閣の真後ろに「世代閣」(霊宝館)が建っている。こちらは、戸岩寺の神将十二体のうち二体が盗難被害にあったのを機に補助金なしで村人が建てた。両館とも村人が護持している。 ↓己高閣の中心に立つ十一面観音立像・重文。顔付・表情、姿態・怒り肩など素朴で田舎臭い仏像。地方色がムンムン溢れている。近くの渡岸寺の国宝・十一面観音像の洗練された美しさ(国宝中でも超一級品)との対比が鮮やか。湖北に住んだローカルな仏師の作品と見える。
↓世代閣中央に安置された薬師如来立像・重文。戸岩寺の本尊。堂々たる仏像。横から観るとその腰・太股の異様な太さに圧倒される。これは、仏師が彫刻を施す神木の太さ・形を生かすことに主眼を措き木に合わせて仏像を造形したことによるのだろう。周辺を固める十二神将像は盗難に遭って十体しかいない。 村人の無念たるやいかばかしか。


↓世代閣に安置された魚籃観音立像。


↓己高閣に安置された四天王像・重文。傷み具合がひどい。



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