金峯神社からさらに奥山の《西行庵》を訪ねた。辿り着いたときには吾輩の脚はもう限界。そこは人の住む世界ではなかった。夏はまだいい、冬は飢えて凍えて死ぬ。西行は冬に備えて必死に薪を集め食料を蓄えたろう。
右は大峰道。ここまではきつい登り道。
深い谷に下りて行く。帰りの上りが怖い。
西行の歌《とくとくと落つも岩間の苔清水 汲みほすまでもなきすみかかな》
苔清水からやや上り道を辿ると、
遂に《西行庵》に辿り着く。
《西行庵》は、こんな狭い谷によくぞ平地が広がっていたものと感心させられる地形にひっそりと建っている
西行はこの平地を耕しもしたろう
西行の歌、三首
《吉野山 去年(こぞ)の枝折(しおり)の道かへて まだ見ぬ方の花をたずねむ》
《吉野山 花のさかりは限りなし 青葉の奥もなほさかりにて》
《吉野山 梢(こずえ)の花を見し日より 心の身にもそはずなりにき》
西行庵の傍らに咲いていた不思議な花
帰路の山道で、動物の糞にたかるコガネムシ
あの奥山の谷間で西行はいかなる心持で春夏秋冬を生き抜いたものか、それをその場に佇んで考えてみただけでも今回の旅は意義があった。多分吾輩の人生の中で掛け替えのない体験の内の一つ。
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