2020年2月16日日曜日

★奥の細道紀行 第278章 福井県永平寺町「永平寺」

永平寺、福井

五十丁山に入て、永平寺を礼(らい)す。道元禅師の御寺也。邦機(畿)千里を避て(★註1)、かゝる山陰に跡をのこし給ふも、貴きゆへ有とかや。
 福井は三里計なれば、夕飯したゝめて出るに、たそかれの路たどたどし。爰に等栽(とうさい、正しくは洞栽)と云古き隠士有。いづれの年にか、江戸に来りて予を尋。 遙(はるか)十とせ余り也。いかに老さらぼひて有にや、将死けるにやと人に尋侍れば、いまだ存命して、そこそこと教ゆ(★註2)。市中ひそかに引入て(★註3)、あやしの小家に、夕貌(顔)・へちまのはえ(延え)かゝりて、鶏頭・はゝ木ヾ(帚木)に戸ぼそをかくす(★註4)。さては、此うちにこそと門を扣(たたけ)ば、侘しげなる女の出て、「いづくよりわたり給ふ道心の御坊にや(★註5)。あるじは此あたり何がしと云ものゝ 方に行ぬ。もし用あらば尋給へ」といふ。かれが妻なるべしとしらる。むかし物がたりにこそ、かゝる風情は侍れと(★註6)、やがて尋あひて、その家に二夜とまりて、名月はつるが(敦賀)のみなと(湊)にとたび立。等栽も共に送らんと、裾おかしうからげて、路の枝折(しおり)とうかれ立(★註7)。
★註1 京都から千里以上も離れての意。
★註2 こういうところに住んでいますよと教えられた.
★註3 引き下がる、隠れ忍ぶこと。
★註4 伸び放題のケイトウやホウキ草が門扉を隠していること。
★註5 何処から来た坊さんでしょう?の意。
★註6 『源氏物語』 「夕顔の巻」などに出てくる場面によく似ている。
★註7 「枝折」は、後から来る人に道を間違えないように枝を折って道標とした。北枝が道標となって案内する、というのである。
〇永平寺に着いたのはもう午後4時。


























【傘松閣】
























永平寺のパンフによれば、「七堂伽藍」とは山門・仏殿・僧堂・庫院(くいん)・東司(とうす)・浴室・法堂(はっとう)のことで、特に僧堂・東司・浴室は三黙道場といって一切の私語は禁止されている。
【山門】仏の世界に入る関門。二階に五百羅漢が祀られている。


























山門の四天王像 仏教の守護神


























【中雀門】













【僧堂】修行僧の根本道場で、坐禅・食事・就寝等が行われる。
























【仏殿】七堂伽藍の中心に位置し、永平寺の御本尊・釈迦牟尼仏が祀られている。
















































【法堂(はっとう)】七堂伽藍の最奥に位置し、説法や各種法要が行われる。
























こういう廊下が縦横無尽に通っている。
【大庫院(だいくいん)】食事を司る台所を始め、賓客の接待の間等がある。
























大すりこぎ棒















所持して歩いていた靴にいつの間にかモミジの葉が一つくっ付いていた。捨てる気にもならず、セレナの中で押し葉にした。










【東司(とうす)】お手洗いのことで、心身共に清浄となることを心掛ける道場。
【浴室】入浴は大切な修行であり、静寂の中で行われる。
永平寺を出た時はもう真っ暗

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